MAGLITE(マグライト)の原点とは?35年以上にわたって一貫して米国内で製造される懐中電灯の代名詞

Mag Instrument Inc.(マグ・インスツルメンツ)社の原点であるマシンショップをロスの街角の自宅ガレージで創業させたAnthony Maglica(アンソニー・トニー・マグリカ)は当時25歳であった。

開業資金は当時の金額で$125。機械工であった彼は努力し技術を身に着け、独立。見事に底辺から這い上がった。

マグライト自体を初めて開発し、製造販売したのはそれからしばらくのちの1979年のことである。

1974年にMag Instrument Inc.の事務係として雇った女性が、のちにマグライト社のマーケティングディレクターとして活躍することになるクレア・ハラスツだった。

トニーと彼女とは一時暮らしを共にすることもあったが、結婚に至ることはなかった。

その後、クレアはマグ・インスツルメンツ社長であるアンソニーに対して金銭に関する裁判を起こすが、クレアは2000年にマグインストルメント社と2900万ドルで和解。

Mag Instrument社は1982年にカリフォルニア州オンタリオへ本社兼工場が移転してから、一貫して35年以上にわたり、MagLiteのプロダクツを同地でアメリカ人労働者が製造している。

投資家たちにマグライトを中国で作れと言われても、品質は目標ではなくプロセスであれと言うAnthony Maglica社長はアウトソーシングを絶対に許可しない。

今ももちろんそうだ。

今後、マグ・インスツルメンツ社がマグライトの生産のために中国に工場を作ることはない。もちろん日本にもだ。

マグライトはアメリカの工場でアメリカ人労働者によって製造されていなければ、創業者アンソニー・トニー・マグリカのポリシー、そしてマグライトの品質にコミットできない。

マグライトのポリシーをあんたに教えよう。

それは、アメリカのフリーエンタープライズシステムに対する信仰と、返還の精神だ。

もし、マグライトがアウトソーシングで製造されれば、その品質はコミットできなくなり、マグライトの卓越性は終焉に向うだろう。

すなわちマグライトの生産設備とその全生産拠点はすべて米国(カリフォルニア州オンタリオ)にあり、確実にアメリカ国内で創業者『トニー・マグリカ』の目の届く範囲で、米国で生活する米国の労働者によって製造されている。

ただし、Mag Instrument社では自社の製品を世界各地で販売するにあたり、その国々の人々を販売員として雇用している。

オンタリオで多くの従業員を持つ企業のトップ10内の主なもには以下のような企業がある。

オンタリオ国際空港、国際貨物航空会社のユナイテッド・パーセル・サービス、Pro & Sons, Inc.、オンタリオ市役所、U.S. マーチャンツ・ファイナンシャル・グループ、そして900名を雇うマグ・インスツルメント社。なお10位にトヨタ自動車がランクインしている。

マグライトのヒストリーや創業者のAnthony Maglicaについてはこちらで紹介されている。

なぜマグライトはアメリカンメイドなのかがわかる。
http://maglite.com/about/american-made

現在、マグライトはさまざまな製品がラインナップされているが、とくにミニマグLED 2AA PROなどはMAX272ルーメンと頼りになる。

ただ、クリプトンタイプも継続して販売されている。ところが、ミニマグLED 2AA PROは旧型の電球タイプに比べてヘッドが間延びしてしまい、デザインが改悪されているのが惜しい。しかし、ミニマグは点灯スイッチを廃していることで懐中電灯の宿命であるスイッチ部品の寿命が存在せず、20年以上も使える長寿命設計思想がすごい。さらにヘッドを外せばキャンドルやランタンにもなるというミニマグの優れた基本仕様もミニマグLED 2AA PROにきちんと受け継がれている。

Xファイルの主人公2人が初期のシーズンで必ずと言っていいほど携行していたマグライト。 画像の典拠元 『Xファイル』 (C) Twentieth Century Fox Home Entertainment LLC.

筆者も過去には、携帯していると捕まるタイプのマグライト(もはや日本国内では『でかいマグライト=軽犯罪法違反で捕まる』という定説も立つほどだが、実際に軽犯罪法違反は警察官の胸ひとつ、裁量で摘発可)を買ったことがあるが、やはり重い、暗い、だから普段使わずに電池を入れたままで放置……そしてアルカリ電池が膨張して液漏れ、電池が抜けなくなって泣く泣く廃棄、という軟弱なマグライト愛好家にありがちなお決まりの糞コースを経験したので、以後買ったことはない。

しかし、ミニマグLED 2AA PROについては自分で書いてて欲しくなった。

なお、マグライト付属の乾電池Duracellは液漏れしやすいので使わないほうが良いというのが定説だ。液漏れすると上述のとおり糞コースである。液漏れの起きにくいエボルタやエネループなどのニッケル水素充電池を使うといいだろう。マグライト社も自社製品にプライドを持つくせになんでこんなものを付属させるのかはわかっていない。

マグライトが活躍するドラマや映画は多いが、中でも頻繁にマグライトが登場する作品といえば、『Xファイル』だろう。『Xファイル』の劇中で登場するライトをメーカー別にまとめてみたので、興味があれば、一読を。

『Xファイル』でモルダーとスカリーが使ってきた懐中電灯を作品レビューを挟みながら考察!

 

1 個のコメント