【Xファイル】モルダーとスカリーが毎回使う『ラリアットレンタカー』の経費が高い!

今回はモルダーとスカリーの旅費、すなわち捜査における経費とXファイルに登場するレンタカーについて考察してみたい。

モルダーとスカリーは毎度のことながら、全米各地の市や州警察、保安官事務所からの捜査協力要請がかかったり、宇宙人にアブダクトされた被害者がいれば、出張捜査に赴くわけだが、彼らが現地で運転しているセダンはFBI支局の捜査車両なのだろうか。いわゆる覆面パトカーなら車内にフラッシュライトがあるはずだが、搭載されているのを見たことがない。

よく見ると、後部バンパーに妙なシールが貼ってあるではないか。『lariat rent a car』。

lariat rent a car 画像の典拠元 『Xファイル』シーズン5の第19話 (C) Twentieth Century Fox Home Entertainment LLC.

そう、実はモルダーとスカリーの運転している各車両はFBI各支局の公用車ではなく、民間から借り上げたレンタカーなのである。

調べると、毎回彼らが使うレンタカー会社は『ラリアット・レンタカー』という会社で、連邦捜査局と取引が多いそうである。

lariat rent a car 画像の典拠元 『Xファイル』 (C) Twentieth Century Fox Home Entertainment LLC.

『lariat rent a car』社は全米各地で営業しているらしく、空港などのそばに必ずあるので、出張の多い連邦政府の職員も安心だ。そもそも支局がなかったり、遠かったりする場合は自前の捜査車両の手配も困難と見え、むしろ民間のレンタカーを使うほうが、モルダーやスカリーにとっては確実で都合が良いのであろう。

日本の刑事ドラマなら各県警の刑事が空港や駅で自前の捜査車両とともに東京の警視庁の刑事を丁寧にお出迎えするものだが。おもてなしってやつだ。誰が十津川警部シリーズだ。

しかし、Xファイルにオモテナシなどのお約束は通用しない。いくらワシントン勤務の特別捜査官であるモルダーとスカリーとはいえ、支局の捜査官がお車を用意して出迎えることはない。稀に地元の保安官事務所がパトカーを回すこともあるが。そういえば、おもてなしといえば、『レインキング』ではセスナでやってきたモルダーとスカリーを幼女がその場でダンスで出迎えたシーンがあったが……。

とはいっても、『lariat rent a car』は実在のレンタカー会社ではなく、架空の会社で実在しない。

ただ、スタッフのお遊びで『Breaking Bad』にも『lariat rent a car』といったほかの作品でも同社が登場する。『lariat rent a car』社のレンタカーはファンなら思わずにやっとしてしまうドラマ上のアクセントになっているのだ。

さて、実際のFBIの経費事情に筆者は詳しくないが、早くて確実なレンタカーも、その経費となると別の問題となるようである。

シーズン7の最終話である22話『レクイエム』ではこれらレンタカー代などを含め、モルダーとスカリーの捜査経費の支出がFBIの基準を大幅に上回っており、しかも捜査結果のほとんどが未解決であり、成果が上がっていないとして、二人は監査官に詰問される描写がある。

二人のお目付け役上司が理解者だったスキナー副長官からカーシュ長官代理に代わり、モルダーとスカリーらの宇宙人関係の捜査活動を妨害したい思惑からか、局の規律を乱す厄介者を早く追い出し、自分のキャリアを守りたい思惑からか、監査官をけしかけてXファイル課の使う経費について詰問、叱責させるのだ。

『レクイエム』は7年前、異星人による誘拐事件がおきたベルフールで、今度はUFOの墜落事件が発生し、モルダーとスカリーが捜査に向かい、スモーキングマンが殺され、モルダーがUFOに連れ去られるという衝撃の展開であるが、冒頭でモルダーは局の会計監査官からレンタカー代、宿泊費などの捜査経費が大きく局の基準から超えているとして、今後は許さん許さーん!もう少し視野を狭めたらどうなんだねモルダーくん!と厳しく叱責されるのであった。

僕たちの扱う事件は普通の捜査方法が通用しない……とモルダーは反論するが、監査官に「妹さんの問題は解決したはずだろう。報告書に君のサインもある」と言われキレそうになるも堪えた。「まるで脅しだな」とモルダー。

どうもそのようである。この監査官も連中の手先でモルダーに宇宙人関係の捜査から手を引かせたいのだろうか。それとも、単に融通の利かない監査官なのか。

ショムニみたいな恰好でパンプスつかつか響かせた経理部員に『モルダー捜査官、ナイトクラブの領収書の提出がなされておりません。締め日までに大至急お願いいたします。なお手書き領収書は今後認められません』ってポスト・イット®をデスクの上のパソコンの電源ボタンに貼られたり、『タコ焼き代なんか経費で落ちませんよっタコッ!』って言われたって、Xファイルには普通の捜査方法が通用しない。ある程度の経費がかかるのは仕方がないのである。タコはスキナーだろ。

なお、宇宙人マニアである市民A氏(マックスさん)が情報公開制度を使ってモルダー捜査官らの主張経費を公開請求しており、彼らの経費の内訳は一般市民も知りうることができるようだ。

しかしまあ、モルダーの出張時の宿泊先は毎度、宿の主人が不法に隠し通路を作るような怪しいボロモーテル(2018のトカゲ男の憂鬱を参照)が主なものだと思うのだが、これでも宿泊費が高いって言うんだから、アレよりヒドイところに泊まれと言うのだろうか。

まあ、あれだ。同シーズンの3話前で、スキナー副長官が局の経費でモルダーとスカリー(スキナー自身も含む)をハリウッドの高級ホテルに泊まらせた件も例の経費監査とおそらく関係あると思う。でも、それスキナー氏が悪いよなあ。

「情報収集はインターネットで充分だろう。これからはこんな経費の使い方は許されない」と、かなりキツく言い切る監査官。弁が立つのは確かだが、最後にはこの監査官、モルダーにぶん殴られてしまったようだ。「(監査官の)視野を狭めてやった。軽くね」とはモルダー談。

考えてみれば、モルダーも結構粗暴である。とくに初期のエピソード。剃りあとの目立つモルダーがグロック19に9mmパラベラムの詰まったマガジンを乱暴にぶちこみ、スライドを得意気に引いて初弾をチャンバーに装填し、戦闘意欲マンマンのシーンとかよ。やってやる!まるで大地康雄の演じた川俣軍司みたいに狂気じみている。やってやるんだ!やる気だこいつ。誰か止めて。スカリー。あと、顔を合わせれば毎回モルダーにどつきまわされていたクライチェック。まあ、彼はモルダーの家族に酷いことしてるし、モルダーに殴られても仕方ないかもしれないが。

ところが、厳しい経費監査の直後だってのに、涼しい顔してオレゴン州へ出張し、アブダクティ関係の捜査を行うモルダーとスカリーであった。もちろんラリアットレンタカー社のレンタカー使用。ナイスビジネス。よく捜査が認められたよなあ。まさかの無許可、自費捜査か?実際、カーシュに『今回の経費は認められない』などと言われて、捜査にかかった旅費をスカリーに自弁で払わせた場面もかつてあり、みみっちいところがケチくさい3流日本企業っぽいなと妙に感心した。

ちなみにモルダーとスカリーってクルマ通勤なのだろうか。シーズン5の第15話「旅人」では、元FBI捜査官アーサー・デールズが自身の若いころの回想にて『私は経費をごまかしたこともなければ、FBIの公用車を私用に使ったこともない!』などとモルダーの前で言い切っているのは、モルダーに対するアテツケっぽいセリフで好き。

『Xファイル』でモルダーとスカリーが使ってきた懐中電灯を作品レビューを挟みながら考察!