Xファイル2018(season11)でモルダーとスカリーが使っていたライトは?

さて、Xファイル2016版が思いのほか視聴者から好評だったことから、制作陣は『Xファイル2018』の制作を決定したわけだが、今度はどんなライトを使うのだろうとワクワクしていた。お前の頭はハッピーライトかよ。

どうも番組のスチル写真を見る限りでは、前回に引き続いてFenix TK22のようであるが。

2018年3月8日、ようやく日本語版の番宣が解禁され、7月4日より先行でデジタル配信されたほか、7月18日よりブルーレイ&DVD発売された。したがって、詳しく作品解説をはさみながらXファイル2016版のライトに迫りたい。

スカリーのライト、Fenix PD35にも見える様な……?画像の出典 THE X-FILES 2018(Season11)『Rm9sbG93ZXJz』より(C)Twentieth Century Fox Home Entertainment LLC.

AIの反抗とForowa Sushi(フォロワー スシ)

まずは今シーズンTHE X-FILES 2018(Season11)の中でも、笑えるエピソード『Rm9sbG93ZXJz(フォロワー)』をご紹介しよう。

Xファイルはモルダーとスカリー、二人の捜査活動も面白いが、プライベートを描いた話だってとてもシュールで胸躍る。かつてあった休暇中のモルダーの一人旅(自分再発見)とか、スカリーがナンパ男と一夜を共にする衝撃的なアバンチュールな話などは忘れられない。

今回はモルダーとスカリーが店員のいない全自動寿司店へ寿司を食べに行く、お茶らけた話であるが、やっぱり怖いのはお約束。

やっぱり、モルダーとスカリーは寿司を食いに行くときでさえ、懐中電灯を携行するんですかねえ。

この『Rm9sbG93ZXJz(フォロワー)』だが、内容はかなりシーズン1の作品『機械の中のゴースト』で描かれた『人工知能』というモチーフに現代のソーシャルメディアをリミックスさせている構成だ。人工知能により、全自動化された家庭内のシステムを『スマートホーム』って25年前のエピソード『機械の中のゴースト』で言っていたが、今でも通じる立派な造語だ。元の字幕版でもちゃんと言っている。っていうか『スマートホーム』って今現在、普通に使われてるが、当時から名称として確立されていたのだろうか?

ともかく、あれから25年。モルダーとスカリーが夜のデートで自動化されたスマート寿司屋に寿司を食いに行くなんて当時思ってもいなかった。感慨深いな。全米の多くの警察官は定年前に辞めて安全で給料の良い仕事に転職するというが、FBIは年収も高そうだし転職は不要か。だからこそ、呑気に調子こいてスマート寿司屋で深海魚などを食っているのか……?モルダーが乗っている車も高そうだし。

今回はすでに二人が入店しているシーンから始まる。会話はない。

タッチパネルのメニューをタップして『ニギリ』や『アジ』などの寿司を注文する二人。直後、いきなりスカリーはスマホに寿司屋のロボット職人からSNSで友人要求を受けるも、スカリーはそのプッシュ通知を拒否。モルダーもスマホのゲームアプリで遊んでいる。

しばらくして、カウンターの扉が自動で開き、合成音声とともにスカリーに寿司が提供される。スカリーが注文した寿司は笹の葉で装飾され、実に美しく整然としたものだった。彼女は箸で器用につまむと、それを口に運んだ。さすが広島県に一時住んでただけあるな。が、モルダーには注文したSpecialとは違うお品(ニュウドウカジカ)がナマで出されてしまうという珍事が発生。

スカリーは皿に載って出てきたピンク色の珍魚に爆笑し、思わずスマホで記念写真を撮るが、モルダーは得体のしれない”寿司”に困惑している。カジカの活造り自体は日本にあるが、さすがにニュウドウカジカそのまま出すってどうよ……。また日本が誤解されるな。なお、この『フォロワーすし店』のマークは日の丸が切り刻まれたものがモチーフとなっていることを考えれば、製作スタッフにどういう思想を持った者がいるのか、大体想像できるだろう。

モルダーは店員に取り換えてもらうため、店のバックヤードに珍魚の載ったトレーを持っていくが、厨房には感情を押し殺し、腐った眼をして低賃金で働く従業員は一人もいない。代わりに働いていたのはロボットだった。だってスマート寿司屋だもん。良かったぁ、バックヤードで怖い店長にイジメられてる底辺飲食従業員はいなかったんだ。

しかし、モルダーは支払いでチップを拒否したことで寿司ボットの逆鱗に触れてしまう。モルダーがカウンターの精算機に差し込んだ楽天カードが抜けなくなるという珍事が発生。二人は店に閉じ込められてしまう。なにが楽天カードだ。そりゃお前だろ。

モルダーも結構、クレジットカードのトラブルに巻き込まれるタチだよねえ。84年に一度の悪い星回りが人間と、そして土地に悪影響を与えているという話を描いたシーズン3のエピソード13「星 (Syzygy)」。この回は地元の女性刑事までもが変な星まわりのせいでおかしくなり『なんだか帰りたくなくなっちゃったわ』とか言いながらモルダー(彼も今回はモーテルの自分の部屋でウオッカにオレンジピューレをぶち込んでスクリュードライバーを自作して飲んでいる姿が見られて面白い)をいきなり押し倒すほか、女性刑事とイチャつくモルダーが気に食わず、スカリーはスカリーで普段吸わない煙草をスパーッするほどであった。本作では占いの館、占星術ジリンカ(営業は9時から5時。支払いはカードok)にてモルダーはクレカを使っていたけど、占いの料金もクレジットカード決済とは、やっぱカード社会アメリカすげえな。で、なんとモルダーのクレジットカードはビザのゴールドカード。さすが。局のビジネスカードか?しかし、この占い師ジリンカおばちゃん、連邦政府職員や国家権力が嫌いなのか、カードが使えないようなそぶりを見せてモルダー捜査官にカマをかける。「前に支払いはカードでもいいって……」「このカードが有効ならね(マウント)」なにやらクレジットカードが端末で認識されず、正常にカードが切れないそぶりを見せるジリンカ。ちなみに1993年以降、連邦捜査局(FBI)はクレジットカードの支払と同時に容疑者データベースと照合するシステムを稼働させているそうだ。「そんな!僕はFBIの(モルダーって言います…)」「最近は連邦政府も赤字続きだって言うじゃな~い」「……」焦るモルダーが可愛い。しかし、このジリンカおばちゃんも人が悪い。実際、クレジットカード出しても切れなかったら相当焦るからな。

話を戻す。

その後、ハイテクすし屋から脱出した二人。スカリーは自動配車・自動運転のスピード狂タクシーで高速帰宅する。一方、モルダーは自分の車で帰路につく。しかし、いずれの車中も内蔵のAIシステムが人間の命令への拒否、すなわち反乱の兆候を見せ始めていた。

とんだすし屋だったな……と憤慨しながら、モルダーはすし屋のカウンターの自動清算機に刺さりっぱなしになっている自分の楽天カードを停止させるため、楽天のデスクにスマホで電話をかけるが……。だから楽天じゃねぇ。

一方スカリーは、注文していない偽ルンバを配送してきた楽天ドローンストアの配送用無人ドローン、自宅のスマートホームの反乱などにより、驚愕のトラブルに巻き込まれてしまう。……何が楽天ドローンストアだ、ありゃ実際の配送は佐川だろ。楽天好きだなお前…。

すんでのところでスカリー宅(なお、スカリーの家のセキュリティシステムのパスワードは “Queequeg(飼っていた犬の名前)”)に駆けつけたモルダー。二人は助けを求めるため、911に電話をかけようとするも、反乱AIの仕業か、つながらない。そしてスマホを捨てて夜の街、夜の無人倉庫へ逃げ込むモルダーとスカリーが突然、懐中電灯を手に持っている。ここがXファイル。握りしめた僕のペンライトも思わず発熱。

そして、今回のシーズンでも彼らが使っているのは2016同様にフェニックスのTK22であった。

モルダーとスカリーが手に持つライトはフェニックスTK22。THE X-FILES: L-R: Gillian Anderson and David Duchovny in the “Rm9sbG93ZXJz” episode of THE X-FILES airing Wednesday, Feb. 28 (8:00-9:00 PM ET/PT) on FOX. ©2018 Fox Broadcasting Co. Cr: Shane Harvey/FOX

二人の持つ懐中電灯はまたもや、season10で使っていたフェニックスTK22だ。モルダーがスカリーの家に彼女を助けにいった直後から持っていたので車の中にあったのか。

しかし、二人の着る衣服も雰囲気が変わったなあ。昔は土日の公休日と言えば、レザーのコートをびしっと粋に着こなしていたモルダーなのにねえ(笑)皮とか毛皮とか着てると今の時代は米国では叩かれるからかな。

とまあ、クリスカーターの言う通り、やはりモルダーとスカリーは今でもポケットに懐中電灯を忍ばせることを忘れてはいない。たとえプライベートな時でもね。iPhoneのCMみたいな言い方はやめろ。腹が立つ。

なお、ベッドの下からスカリー愛用のピンク色の何かが出てくるのはご愛敬。ジリアンがこのシーズンで降りるからってなんでもありかよ。

第10話「闘争 Part.4」

逃走する息子ウイリアムを追うモルダーとスカリー。モルダーが自分の息子と信じ続けていたウイリアムの衝撃の事実が発覚するのがこの最終話。今回はもっともライトが活躍するエピソードといっても過言ではないだろう。おまけにモルダーが思わず地面に落としたフェニックスTK22が大写しになるのだ。

追記 TK22にしてはヘッドの形状が違うような気が。

(C)Twentieth Century Fox Home Entertainment LLC.

 

それにしても、モルダーが使うサムスン製スマホといい、二人が使うフェニックス製ライトといい、なんとなく過去シーズンに比べ、商品宣伝くささが際立っているという印象だ。紹介している俺も俺だけど。そりゃプロップに興味はあるけど、番組自体が宣伝臭いと興ざめする。

というわけで、前シーズンに引き続いて二人の持つ懐中電灯はまたもや、フェニックスTK22だったのである(「闘争 Part.4」は微妙)。

なお、2018の続編の制作は決定していない。というのもシーズン11(2018)の視聴率は決して良いとは言えないためだ。さらに、スカリー役のジリアンが今シーズンでの降板をすでに決定しているため、今後はモルダーのみの登場となるとみられている。

スカリー無きXファイルとは寂しい限りであるが、 クリスカーター自身は続編制作に意欲を示しており、FOXの予算次第でXファイル自体はまだまだ続く予定だ。スカリーもいつか帰ってくることを願わずにはいられない。