『七人のおたく』と『電車男』に見る時代別のオタク考察

電車男オタク考察 初稿 2005年 07月16日 土曜日 12:06:50

「七人のおたく」から「電車男」へ。13年ぶり「オタク」熱が再燃か? 13年目に再び問い掛けるフジテレビ

小馬鹿にしていていたドラマ「電車男」が予想以上に初回から面白いので少し悔しい。馬鹿にしていたのは私だけでなく、当の「ネットの住民たち」の家であり、ドラマの舞台たる 「2ちゃんねる」でも同様だった。彼らは全体的にドラマには難色を示していたように思う。

ところが、電車男の初回放映日は、2ちゃんねるのサーバーが落ちる寸前だったのも事実。重くて重くてなかなかつながらなかったのを記憶している。

まあ、そういうわけで馬鹿にしてたもんだから、映画版も本も見たことないのでこれからの展開も結末もわかりませんので非常に得した気分です。やったーって感じ。

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で、馬鹿にしてた私が二話目も見るに至ったワケを書きたい。

ところで、この電車男について語る前に、ある映画を取り上げたい。 フジテレビには「七人のおたく」っていう「電車男」と同じ「オタク」を主人公にした 映画を13年も前に作った”前科”があるのだ。七人それぞれが持つ知識を結集させて人助け(?)をするという作品だが、本質的には「電車男」にも通じるものがあると思うのだが、どう?

映画「七人のおたく」

本作「七人のおたく」はサバイバルゲーム(エアソフトガンで撃ち合う戦闘ごっこ遊び)おたくで警備会社勤務の主人公・星(演・ナンチャン)にコミケでスカウトされたカンフーオタクの近藤(演・ウッチャン)をはじめ、マックを愛するIT会社の社長で、りさ(山口智子)の恋人である江口洋介、アイドルオタクの武田真治、そして無線傍受オタクの女子中学生・浅野麻衣子ら、それぞれの分野のオタク(スペシャリスト)たち、さらには”敵”でありながらも正義の心を忘れない特撮ガガガ(!?)な丹波さんなど、いずれ劣らぬ濃いキャラたちが所狭しと暴れまわるアクションコメディ映画。

なお、宮崎アニメ「崖の上のポニョ」にて、宗助の母親・リサの声を演じる山口智子ですが、彼女はポニョ公開の16年前にも同じ「りさ」の名前でアマチュア無線と密接なかかわりのあるこの映画に出演しているのは興味深いですね。

常に迷彩服の主人公、星亨は実直そうな人間ですが、ミリタリーオタクという、世間から嫌悪されそうな趣味のため、同好の士以外は友達がいません。

一方、密漁で財を成した静岡某島の網元・高松は不良漁師集団のボス。彼らは漁師でありながら他の漁場を荒らし、荒稼ぎしています。どうやら島に警察機能は働いておらず、海上保安庁がかろうじて島の周辺で密漁船取締りのパトロールを行っていますが、密漁集団のしっぽをなかなかつかむことはできません(無能すぎなのか、タブーなのか……)。

そんな高松は外国人女性・ティナとの間に子・喜一をもうけますが、ティナは高松のDVに嫌気が差して島を去り、子供と共に東京のアパートで静かに暮らしていました。しかし、それも束の間。ある日、ティナの元へ乗り込んできた高松はティナに札束を叩きつけ、喜一を奪い去ります。

『俺ぐらいになるとただのサバイバルゲームでは満足できないんだ』

たまたまティナと同じアパートに住んでいた星はどちらかと言うと正義心ではなく、自身の満足感のために子供を奪還すべく、まずは多方面の分野に精通したそれぞれのオタク系男女たちのスカウトを開始。そして、それぞれのオタク的知識と技術を以って”任務”を達成すべく、静岡の旅館に集結し、星の作戦が開始されます。

どのオタクたちもキャラが立っており、星によるそれぞれのスカウト方法も通なのですが、そのスカウト方法はぜひ本編を視聴していただくとして、今回は「無線傍受おたく」の女子中学生・水上令子(演・浅野麻衣子)のスカウトシーンを取り上げましょう。

水上令子は都内の学校に通う女子中学生。男の子や流行には興味がないようで、昼休みは学校の屋上で同級生がダンスなどに興じる中、一人静かにアマチュア無線機(または受信機)とイヤホンで今日も空を飛び交う様々な電波を傍受しつつ、テレホンカードを削ってスルーカードを作っています。彼女の興味の対象は消防無線やコードレスホンなどまで幅広いようです。そんな電波の合間に、彼女は奇怪な微弱電波をキャッチします。

『渋谷区松涛3の2の5……渋谷区松涛3の2の5……』

ただ住所を読み上げる男の不気味な声と時報だけが繰り返されます。ポシェットにハンディ機を入れ、放課後一人で当該の住所を尋ねた制服姿の少女は草木に覆われ、朽ちた洋館のような廃墟の前に立ちます。

『キミが欲しい』

恐る恐る、ほの暗い建物内に足を踏み入れ階段を上る令子。すると突然、迷彩服で覆面の男・星(南原清隆)が通路の奥から飛び出してきます。悲鳴を上げて逃げる令子ですが、星に微弱電波の探査能力を褒められ、戸惑いながらも悪くない気分です。しかし『キミ(の能力)が欲しい』という星の言葉を額面どおりに受け取った令子は今度こそ、自分が弄ばれるかもしれないと顔をしかめますが、むしろ星のほうが純情でした。『ち、違うっ!そういう意味じゃない……』。なりゆきで、令子は星のスカウトを受け入れ、メンバーとなります。

りさ『(消防無線なんか聞いて)楽しい?』令子『とても』

一方、山口智子の役回りはPCオタクの彼氏役・江口洋介にバカンス気分でついてきた同じ会社のOLのりさですが、彼女自身はオタクとは正反対の旅行好きでディスコが似合いそうな快活なOLです。公式設定で、りさは「レジャーおたく」と銘打っていますが、映画の広告でのテロップでは「ふつう」になっており、ちょっと面白いです。確かに、このメンバーの中では彼女は至ってノーマルで、唯一の常識人かもしれません。

そんなおたくの彼らは、前進基地である静岡のある旅館にて作戦決行前の束の間の休息時間を取るのですが、そのわずかばかりの時間ですら、当然それぞれの趣味に没頭しています。格闘技オタクの近藤は肉体鍛錬に汗を流し、令子は一人テーブルに向かい、分厚い周波数帳を開いてはメモを取り、静岡県内のアクションバンド(※)事情をハンディ型アマチュア無線機の広帯域受信機能で傍受、検証しています。

※この映画に協力したのはラジオライフではなく、ライバル誌のアクションバンド電波のようで、スタッフロールにクレジットが入っていました。

令子の無線機は浜松市消防局の消防無線を傍受しています。救急隊が搬送する患者の容態が刻々と通話コードで浜松市消防局へと伝えられ、緊迫した状況を伺わせます。

りさは救急浜松の無線通話コード『944』の数字の意味を令子に尋ねると、令子はノートに「倒れた人」と「天使の輪っか」を描き、りさは唖然とします。りさは呆れつつ、令子に「たのしい……?」と尋ねると、無線オタク少女・令子は明るい声で「とても」と答えるシーンには筆者も何だか気恥ずかしくなります。

『まったく……ローカルは宝箱だ』

隣の部屋ではアイドルオタク青年・国城役の武田真治がアイドルもの同人誌の編集作業に没頭している最中、静岡ローカルのTVCMに”推し”のアイドルグループが出ていることを見逃さず、間髪を入れずに録画ボタンを押します。『まさかCoCoが静岡でコンビニ、パブってるとは思わなかったな……おっまだ瀬能あづさがいるもんな。まったく……ローカルは宝箱だ』

もう完全に趣味に人生を捧げるADHD青年・国城を演じる武田真治の怪演は鳥肌が立つほどです。本作では彼が最も”ステレオタイプ的なおたく”を表現していたかもしれません。

りさは国城にドルオタ同人誌を980円で売りつけられた挙句、星のエアガンの射撃練習に巻き込まれ、目の前をBB弾がかすめます。りさはもうウンザリとした顔で「私だけはオタクじゃない。この場で私だけが唯一、マトモ!」と言いたげな様子。りさは恋人である田川(江口洋介)に早く東京に帰ろうよと縋るも、田川はIT会社社長。レッキとした”パソコンオタク”なのです。星から与えられた『PCによる偽造音源製作』のミッションを嬉々としてこなしています。

『これは……誘拐なのか?』『誘拐じゃない!』

深夜。おたくたちの作戦はついに決行され、斥候の令子がアマチュア無線のハンディ機で旅館の星に状況報告。しかし、消防無線の通話コード(暗号)を使ったり、そもそも目的外通信のため、かなりグレーな運用です。ところで、令子はともかく、星は従事者免許を持っているのだろうか!?

令子の報告で星らは敵である密漁団のボス・高松の邸宅へ浸透作戦を展開します。星はエアガンで電灯を撃ち抜き(ということは3ジュールくらいある改造品でしょうか?当時からマルイの電動ガンは1J超えないレベルでした)、近藤が門戸を見事に蹴破り突入。しかし、門戸を破らなくても入れた事実が発覚。『まさかこのために俺を呼んだのか……?』星に対する近藤の不信感が露になります。

そして星は目的である幼児・喜一を”奪還”し、他のメンバーと共に漁港へ向かいますが、これは誘拐なのかと、パソコンオタクの田川は不安になり、星に真意を問います。

おたく、失意の撤収

しかし、時はまさに世紀末。高松やその手下ら不良漁師集団の追っ手が淀んだ夜の漁港に迫ります。絶体絶命のその瞬間、港に海上保安庁の巡視艇が滑り込み、拡声器で漁師らに呼びかけます。『また出たんだ。密漁船が……』しかし、不良漁師たちはいつものように海保をあしらってしまいます。『本土のやつらでしょう?ご苦労様です』星は『本土まで乗せてくださーい!』と、事情を知らない海保に助けを求めますが拒否され、もはや、おたくたちに退路無し。じわじわとヒャハーッ密漁団に追い詰められ、高松に喜一を奪い返され、アジトに連行されそうになります。が、そのとき、りさはとっさに機転をきかせ、星からエアガンを奪い、海上保安庁の巡視艇にBB弾を叩き込み、船の照明設備を損壊させて海保を介入させ、からくも窮地から脱出します(罰金とエアガン没収で済んだ)。りさの機転と度胸はやはり、ただの女性会社員ではありません。

しかし、国城の車の中でメンバーが安堵しつつ作戦の継続可否を話し合うのも束の間、再び漁師らから今度は本気の襲撃を受けます。角材で国城のクルマを襲撃しようとする漁師の一人は運転席に飾られたアイドルのフィギアを見つけると、なぜか戸惑って襲撃せず、結果、国城はクルマを急発進させて逃れることに成功。しかし、メンバーは漁師たちの恫喝と暴力で、ついに戦意喪失。作戦継続が不可能になり、東京へいったんは撤収します。

が、星と近藤のみは感傷に浸りながらも反撃、奪還の機会をうかがうため、現地に残留します。

一方、一度は散ったおたくたちですが、実生活でもトラブルが続きます。田川は利益より趣味を優先する自身のワンマン的な商品開発の姿勢から会社の経営難を社員に指摘され、ドルオタの国城は同人仲間に全国183人の読者の定期購読料を持ち逃げされた挙句、高橋由美子の写真集ロケにネパールまで追っかけるために使い込まれて回収不能となり、次の同人誌が出せなくなっています。

『あいつは肝心なときにびびる……負けボシ』

一方、令子はサバゲーフィールドを訪ね、星のサバゲー仲間兼上司からパワーアップしたスタンガンを貸してくれるように頼むなど、星のために奔走。そこで令子は星が仲間から『あいつは肝心なときにびびる。あいつがチームに入ると必ず負けるんだ。だからアイツ、いつも一人チームでさ……負けボシ』と愚痴を聞かされます。もちろん、スタンガンは『貸せないねえ』とのこと。サバゲの衣装や考証協力はホビージャパンのアームズマガジンが担当していますが、たぶんこのゲーマーの皆さんは編集部員かな。無関係の親子がフィールドを通り過ぎてるのにゲームを中断しなかったり、ゴーグルしてない令子をゲーム中に入場させたり、そこはそもそも専用のフィールドなのか?という疑問もあります。まあ、この時代のサバゲーのマナーって、あってなかった時代ですが、今の常識だとぞっとしますね。

不良漁師集団でただ一人の正義漢で隠れオタクの丹波さん登場

星と近藤は反撃の機会を得るべく、再び島へとバナナボートと遠泳でネイビーシールのように隠密上陸します。山中の廃屋を発見した二人は前進基地として篭りつつ、星は夜間に暗視スコープで敵情視察を行いますが、番屋で魚を焼いていたため、あっさり発見されてしまいます。『こんなところじゃ、すぐ見つかるぞ』番屋に入ってきた男に星と近藤は身構えます。しかし、男の顔を見た星と近藤は驚きます。『丹波さん……!?あのホビージャパンのジオラマの』と星。近藤も『フィギアの神様だ……コミケで買いました。ウルトラマン、ゴレンジャー……』と、男を知っていたのです。丹波達夫。彼は島の漁師で高松の手下ですが、実は今でこそ妻子ある身の彼も5年前まで元おたく。フィギアおたくで伝説の原型師です。僻地の30男が嫁を獲得するべく、オタク趣味を封印していたのです。先日の漁港での襲撃で国城の車に飾られたフィギアに目を奪われ、襲えなかった漁師は実は彼。しかも原型製作者が丹波だったのです。この番屋は丹波の隠れ作業小屋。隠し棚には丹波の秘蔵品である特撮の各種フィギアが飾られています。

『ジオラマは愛だ。作るぞ……きっちり!』

丹波は二人の作戦を支援するため、ジオラマによって島の全景を作成。3人は明け方までジオラマつくりに没頭します。丹波は(丹波達夫として)自分のできる協力はここまでだ……もう帰れと言い、高松は予想以上に凶悪で強敵だと二人に言い残し、去ります。

『第二次作戦開始だー!』

さすがにガガガの丹波さんに帰れと言われれば、帰るしかありません。星と近藤はついに撤退を決め、浜津駅にて東京行きの電車を待っていました。しかし、彼らの想いとは裏腹に、散っていたオタクたちはそれぞれの理由から静岡に戻ってきたのです。オタクではないため戦力外だったりさも、星が行おうとしている”人道的救出ミッション”に賛同し、彼らを手伝います。

しかし、令子が戻ってきた理由はいまいち不明なのです。スタンガンを借りられなかった令子は、自分が自作するからと、星に再参加を懇願します。星も『おまえ……なんで !?』と不思議がります。ここは視聴者が妄想を膨らませましょう。どうも令子のほうは星にまんざらでもない様子です。『キミが欲しい』が効いたんでしょうかねえ……。星当人はオタクのくせに当初から”普通の女性会社員”であるりさにぞっこんで、”女としての令子”は眼中にありません。彼はおそらく、令子のことをサバイバルゲーム仲間くらいにしか思っていません。

この、令子と星の微妙な関係の描き方は実に上手いなあと思います。無線傍受おたくとミリタリーおたくってやっぱり波長が合うんでしょうかねえ。二人が将来的に結婚すれば、ラジオライフのペディに参加していた可能性もあったでしょうねぇ。

そんなこんなで第二次作戦開始です。敵にハニートラップを仕掛けるため、高松らのたまり場であるスナックに化粧をして向かう令子。しかし、彼女には役不足でした。しょせんは女子中学生。ハニトラは痛々しく失敗に終わります。代わりにりさが参戦し、歌と踊りで高松ら荒くれどもを魅了します(先日のM16乱射事件で高松らに顔割れてるはずですが……?)。令子はりさに魅力で負けた嫉妬からハイヒールを軽トラのフロントガラスに無言で投げつけて割る演出が笑えます。

後半ではまたもアマチュア無線の出番がありますが、この無線機の使い方もかなりグレーです。令子は用意しておいた遠隔操作式発煙筒をハンディ無線機からの電波送信によって作動させます。

こうして、星は満足感達成のため、近藤は本当の正義のために、田川は自身が開発したシミュレーションソフトの実証実験のため、国城は同人誌を刷るお金のため、令子は星のため(!?)、仮面男ダン(丹波)は……なんだろう、日ごろの高松への不満か、心に眠る正義が目覚めたのか。りさはティナへの同情心かな?それとも単にレジャーを楽しんだだけ?とにかく、喜一奪還のため奮闘し、第二次作戦を開始します。あとは本編をご覧になってください。

日本では珍しい最後にほろりとさせるバランスの取れたアクションコメディの金字塔です。おっとそうそう、16年後、りさ(山口智子)は息子の宗助の前でアマチュア無線機(しかもHF機)を華麗に扱う立派なオタクになるとは彼女自身も思わなかったでしょうね。

なお、無線はとくに関係ありませんが、山口智子は1993年に日本テレビ開局40年記念作品のアニメ映画でも声優で出演しています。

役どころは地球上で最も過激な環境保護団体として知られるグリーン○ースのメンバーで、フランス海軍特殊部隊に狙われた日本人親子の命とプレシオサウルスの生き残りの子『Coo』を守るため、FA-MAS小銃片手に戦うという、とても凛々しい日系人女性・キャシー野崎の役でした。子を守る強い女ばっか。

それにしてもおたくの定義って何でしょうか。以下、フジテレビ出版(扶桑社)が1992年に出した映画の解説本「七人のおたく」より引用しました。


「おたく」とは、心の中に自分だけの小さなパラダイスを持っている人たちのこと。自分にとって、大切にしているものや、自分の好きなジャンルは誰にでもある。その中で時間の感覚を失うほど没頭できる何かひとつのことを持っているのが「おたく」。 そしてそのパラダイスを大切にしながらそれを最大限に楽しめる人こそがおたくなのだ。

1992年当時、フジテレビが出したオタクに対する公式見解はこうだ。ずいぶんと肯定的なモノである。では今回の電車男ではどうか?非常に私は気になる。

ところで、「七人のおたく」には「電車男」の主人公のような 『アニメオタク』はいなかったはずだ。そう。確かにいなかった。

フィギュアオタでアイドルの同人誌を出していたの武田真治、パソオタの江口洋介が一番アニメオタクに近いと思うが、パソオタ役でパソコンソフトウェア会社社長役の江口洋介は 別にエロゲー会社の社長じゃないし (そもそもパソオタがイケメンってのは……なあ) 好きなゲームはフライトシミュレーターで、自社で作ってるパソコンソフトはゲームというよりは 航空力学シミュレーションだ。

マイクロソフトのFSに付属してた 機体設計機能みたいなもんかな……。 (このソフトを使えば『誰でも空が飛べる』らしい。映画ラストの伏線でもある) フィギュアオタクも特撮モノのフィギュアオタで アニメ・ゲームキャラのフィギュアではない。

察するにあの当時、フジの中にはにオタクを主役にしてはみたけれど 「さすがにアニメオタクはマズイんじゃないの」 という声があったのでは!

それは「ここに10万人の宮崎がいます」 の発言からまだ数年しか経ってない時期でもあったし、今のように農協や自治体や警察や三鷹市の水道局みたいにマスコットキャラにアニメ調のキャラ、 もしくはアニメの版権キャラを使用する時代ではなかった。

昨今の「萌えブーム」など無かったし本質的にアニメオタクは 犯罪者の代名詞とされていたくらいであり極論を言うと 「アニオタをカミングアウト=死」 という時代だった。

秋葉原などまだ『ラジオライフ』や『アクションバンド』片手に懐に忍ばせた受信機のイヤホンを耳に差し込んだマニアが歩く街だった。 売ってるものも無線関係、違法コピーゲームソフトだったはずだ(今もアクション電波がアニメ雑誌に代わっただけで本質的には変わってないか)

でも、よく考えるとあの映画の内容でアニオタがいたとしても、なんの役にも立たないような気がしないでもない。

まあ、13年目のオタクドラマでようやく普遍的なオタクの象徴である 「アニメオタク」が登場したというわけだ。

しかしまあ、「モニターの向こう側」で主人公を応援する人間たちも、また何らかのオタクなんだよね。 電車オタク、AAオタ、コスオタ、サバゲーオタク(あれは絶対に本職が演習中の図ではない)……。

当然、このシーンを見るとやはり「七人のおたく」を連想させずにいられないのだ。 私は「七人のおたく」はもっと海外に輸出すべきだと思う。あれはいい映画だよ。 「ミッドナイトラン」で主人公が賞金首の護送中、彼がわかれた元妻の家にいったとき 帰りに車に乗りこむ賞金首のコートの裾が ドアに挟まらないようにそっとさり気なく入れてあげる(手錠されてるから) シーンと同じくらい、ジーンとくる映画です。嘘です。

で、話を電車に戻して……。 あ、OPアニメがDAICON4作目のオマージュ(劣化コピーと揶揄されている始末)なのね。 アニメをOPにするなんて賭けだっただろうな。しかもあれは若い女が見たら確実に「キモッ」というシロモノだからねえ……。 私みたいなバニーガールコスチュームに異常な欲情を抱き(でも別にウサギである必要はない。 網タイツにあのボンテージ、首に蝶ネクタイ、ハイヒールがあるだけで耳と尻尾なんかいらん) 適度にリアル描写が好きな人間はあのOPアニメ 「月面兎兵器ミーナ」には……結構……こう、クルものがあります。 良いです。あれがもし今流行りの「顔の半分以上が目」でおまけにロリ体型 みたいな絵だったら私は電車男の第二話を見ていただろうか。 私、普通にデフォルメキャラクターは好きだけど ガチ幼児臭がする絵に興味ないので昨今の萌えブームには まったく乗っかれてないタイプの人間です。で、まあ私はとても奇抜でいいOPだと思うんですが、だいたいフジテレビのドラマ見るような自称イケテル女はアニメ見ないと思うしね。OPだけチャンネル回すからいいか……。 まあ、今後「電車男」が何かの間違いで海外でも放映されるかもしれないが 、そのときは「ああ、日本の文化がまた間違って認識されるな」 と笑おうと思う。日本よりも家庭へのPC普及率が高い 国(シンガポールだっけ?)で放映されたらどんな反応があるか知りたい気がする。

でもねー本当にこのドラマ見て、目から鱗が落ちた感じがする。 モニターの向こう側には自分と同じ生身の人間がいるってことを忘れていた。 私は個人的にこのドラマに恋愛要素を求めてない。 (だからあえて劇中のデートやら何やらの場面について批評しません。) 求めていないといってもやっぱり作りが恋愛ドラマなのでまどろっこしい 部分があるが私はむしろフジテレビ言うところの 「ネットの住民たち」と「13年目のオタク」をどう描くか見たいのだ。 (主人公がこの先、コミケットでオタク仲間を集めて 孤島で何か変な作戦を企てないことを祈る)

いずれにせよ「電車男の映画を見て泣いた」とかブログで書いてた女を馬鹿にして悪かった思うよ。私もこのドラマの「終電」まで付き合うと思う。

なんちゃって!じゃ!!