無断転載ブログへの対処法と対処困難な事例

無断転載の対処法とその所感

過去に筆者の運営する複数のサイトの記事を勝手に無断転載していたブロガーをブログ運営各社に通報し、削除を一斉要請したことがあるので、その時の経緯を書き留めておきたい。

基本的に自身のサイトからの無断転載を調べるには、自分で検索エンジンを使って一個ずつ調べる場合がほとんどであろう。善意の第三者からの情報提供を期待しても、よほど大手で熱烈信者がいるところでも無い限りは、ほとんど来ることは無いだろう。これは筆者とて同じだ。普通は『あなたパクられてますよ』なんてメールはしない。

貴重な自分の時間を使って、他所のサイトの運営をボランティアしたくない。

しかし、例外がある。

筆者の場合は同じく著作権侵害の被害を受けている他サイトと連携して情報共有の上でサーバー運営会社に申し立てを行うなど、パクリサイトに共同対処する場合もある。

つまりこうだ。パクリ犯のサイトはたいてい、複数のサイトから平気で数十記事くらいパクっている。それを地道に検索でパクラレ元を探し出し、そのラレ元サイト運営者や運営企業に対してメールで情報提供をする。『御社の記事がパクられてます』と一斉にだ。

被害サイトの運営者たちが続々とパクリサイトの運営元サーバー会社へ権利侵害の申し立てをするころには、パクリサイトのトップページが404になっていることも少なくない。

パクリサイトが弁護士事務所系が運営しているような法律系サイトの記事をパクっていればシメたものだ。通報して一時間でパクリサイトが消し飛んでいたこともあった。

被害者は多ければいいというわけでもないが、1人より2人より3人と、多人数のほうがブログ運営会社などへ対処させる力が強くなるのは事実で『共同対処』は無断転載に対して有効な手段となる。

ただ、この『チクリ』に対しては『何の得にもならないボランティアご苦労様です』と露骨に嫌な顔をする個人のサイト運営者も少なからずいた。ただ、何の得にもならないと云うのは間違いだ。筆者の利益のためにやっているのだから。

自身のサイトのテキストがコピペされていないかを調べる手法は?

とくにコピペの被害に遭いやすいのは、記事の最初の導入部分と、終わりの要旨をまとめた部分だ。コピペ犯たちは情報の上辺、すなわち要旨だけかすめ盗っていくので、どうしても最初と最後の段落が狙われやすくなるようだ。

また、必ずと言っていいほど彼らは『○○とは(パクった要旨)になります』というような、いわゆるバイト敬語(マニュアル敬語)で書くのはなぜなんだろう。バイト敬語とは、底辺飲食店などに代表される接客業のバイトの店員が使う『こちら、○○になります』というような独特の言い回しだ。料理がテーブルに置かれるとき、ワンピース的な『ドンッ』みたいな頭の悪そうな効果音が料理の背景につきそうな感じの。これが正しい言い回しか、誤った言い回しかは議論があるが、キュレーションが流行となって以降、この『になります』が妙に気持ち悪くて、自分が以前書いた記事からはできるだけ『になります』を削除した。もちろん、筆者が使用していたのはバイト敬語としての使い方ではないほうの使い方だが。引用している文章に入っている場合はしょうがないが……。

ともかく、自身のサイトのテキストがコピペされていないかを調べる手順にはどのようなものがあるだろうか。ここでは一例をご紹介したい。

WordPressならコピー通知プラグインを入れよう

まずはコピー通知プラグインの導入だ。これは自サイト内のテキストが右クリックでコピーされた時に自分のメールアドレスに知らせてくれる。しかし、当然だが、このプラグインが出来るのは自サイト内のどこの記事のどの部分を何日の何時何分に「コピー」されたかを通知してくれるまで。「ペースト先」までは追跡できない。出来たら怖いわな。

ただ、ひとまずは溜まった通知メールを保管しておき、グーグルなどの検索サイトに反映されるであろう2日から1週間程度後に、そのコピペされた部分のテキストを検索にかけてやればいい。転載されていれば、すぐ発見できる可能性がある。ただ、最近のグーグル様はパクリサイトをできるだけ上位表示しないようになってきてはいるが。

※追記 2019年3月のグーグル検索アルゴリズムのコアアップデート(フロリダアプデート)により、また法人運営のキュレーションサイトが上位表示されるようになってきた。これは権威主義アップデートとも言われており、内容がパクリや薄くても虚偽でも、法人や大手サイトなどドメインパワーが強ければそれ自体で権威があると優遇するという意図がある。今回も例のごとく、我々サイト運営者側にできる対処法はまったくない。良い記事を書くだけだ、とはSEO系のブロガーがよく言う台詞だが、最近は彼らも逆切れして『企業には勝てねえよ』と断末魔の叫びを上げている者もいる。

当サイトではそもそも右クリックを禁止しているのだが、JSを切れば役に立たないし、iPhoneではコピーできる。

右クリック禁止に対する議論はいまだに続いているし、今時そんなサイトはグーグルの検索結果に載せないようにすべきだという意見もある。効いてる効いてる。

古典的ではあるが、いまだに右クリック禁止の効果は高そうだ。そもそも利便性の低下に対する苦情はパクリ犯に言うべきで、正当に運営している運営者に言われても……という話だ。

アクセス解析を導入しよう

さらに当然アクセス解析の導入だ。商用、非商用に限らずサイト運営者たれば、アクセス解析の設置は運営上、至極当然である。通常は、検索サイト経由でサイトに訪問してきたユーザーの経路を調べればいい。

特定のキーワードや文章の検索結果を見ると、そこには自分のサイトのほか、自分のサイトから無断転載したサイトまで出てくるのでいとも簡単に無断転載がわかる。

それを見つけた時のあの何とも言えない気分は実際、何と表現したらいいのか自分でもわからない。

無断転載に対する怒りは当然あるのだが、一方で自分の文章は他人に丸パクリされるほど良い出来だったのか……という妙な満足感すら覚えるのだから、困る。

しかし、エツに浸ってもいられない。早く対処しなければ、自身の描いたせっかくの良い出来のコンテンツもどんどんコピーされ、オリジナル元があとから”正当性を主張”しても弱い。

パクリブログのさまざまな言い訳に唖然

まあ、いろいろなブログやサイトの運営者に無断転載され、そのたびに削除要請を行ったが、向こうの言い分も人それぞれで面白いものが多数あった。例として……

「転載されるのが嫌なら書かなけりゃいいじゃないですか」

「私は紹介させていただいてるだけなのに」

「転載されるのが困るという事は書き込みがウソだからですよね」

「私は著作権という法律を知らなかったのだ」

「あなたも転載してるじゃないですか」←俺は引用だ。

ちなみに、これらの言い訳をした管理者のうちの一人は、直後に自分のサイトに『無断転載を禁止します。発見した場合は法的対処いたします』と追記しており、腰を抜かした。

DMCAの申し立てを行い、グーグルの検索結果から無断転載ブログを駆除するべきか?

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デジタルミレニアム著作権法(DMCA)に基づく申し立て(以下DMCA)は一応の効果があるだろう。Googleの検索結果に直接出てこなくなるのだから。

しかし、結論から言うと、サイトの無断転載をされてDMCAに基づく申し立てを行った場合、『クレーム』に出した人の実名がウェブ上に公開されてしまうのでやめたほうがいいわ。

なにい、どういうことだ?うむ、説明しよう。

無断転載ブログをグーグルの検索結果に出さないようにするため、著作権侵害サイトの通知を同社に行う際、権利者の氏名または会社名を記入しなければならない。匿名は不可である。さらに通知の申し立て内容は誰でも見ることができてしまう。

ただ、本人確認書類の提出は不要なため、偽名でも通る可能性はある。しかし、虚偽の申し立てになり、相手に反訴されたりすれば、裁判時に困るだろう。

名前を出して商売しているフリーランスや、企業運営のサイトなら問題はないだろうが、この個人名が公開されるという点を説明しないで『パクられたらDMCAがおすすめ!』みたいな記事を書いているブログがあるが、自分が何してるかわかってんの?

このように著作権侵害サイトをグーグル経由で通知し、検索結果に出さなくしてもらうという行為は自分の名前が公開される諸刃の件であるので覚悟が必要だ。実名をネット上に出したくない人は安易にしないほうが得策だ。

もちろん、実名が出ても困る理由など無いわという場合はレッツチャレンジ。

余談だが、世の中にはえちえちマンガというものを作っている人たちがいて、彼らは自分の「作品」をウェブ上に無断アップしている「著作権侵害サイト」と日々、熾烈な戦いを繰り返している。著作権者が自身の著作権を守る戦いにえちえちマンガ家も普通の漫画家も関係がない。

ただ、当然ながら、えちで実名でやってる人はいないわけで、えちは侵害通知を出すと本名を公開することになってしまう。その結果、ある人気えちえち作家の実名がバレた。

無断転載の対処はブログユーザーより運営会社に削除依頼するのが効果的

無断転載を発見した場合、ブログの運営者よりブログサービス会社に直接通報することが望ましい。

つまり「御社のブログに当サイト内の文章が無断転載されて公衆送信されており、当方の著作権を著しく侵害されているのでただちに削除をしてください」という内容の無断転載にかかる権利侵害の通知を出すのだ。

このような通知が届くと、サーバー運営会社はこの通知の内容をブログユーザーに問い合わせるのが一般的だ。

そして、プロバイダ責任法において定められた7日間の照会期限を経過してもブログ運営者から何の回答や反論もない場合、ブログサービス会社が当該ページを削除しても構わないと決められている。

筆者の体験だが、ほとんどの大手ブログ運営会社には紳士的に対応していただいた。

もっとも、誰が見ても明らかに分るほどひどい無断転載だったからだろうが。さて、その無断転載されたブログ提供会社は大手といわれる大御所のgooブログ、FC2ブログ、楽天ブログの3つ。

この3つのブログに対し、筆者はそれぞれ、無断転載に対する削除要請を行った。以下が実際の削除要請の流れである。

まずはgooブログ。一番まともなのがgooブログだった。通報すると事務局が相手側ブログユーザーに警告を行ってくれた。そのユーザーは削除に応じなかったので、gooに一週間で削除され、実に簡単に終わった。

次に楽天ブログ。ここは削除要請を行うと以下のような文面で返信が来た。

「高度な法的判断が必要で当社では著作権侵害を判断できないので、貴方様が直接コメントなどで削除を要請してほしい。当該ブログユーザーが応じなければ当社が警告文を送ることは可能」

という内容の返信があった。指示に従って、私がブログに直接削除要請し一週間待つ。しかし、相手側ブログは無視をした。

このため、楽天へ「削除に応じないので御社が対応してほしい」と連絡。すると、「わかりました。当社が警告文を送ります。一週間ほど様子を見て改善されなければ削除を含め対応するのでまた連絡してください」との返信。

一週間後、当該ブログが私へ反論してきた。なんと、私がやってもいない○人予告などを持ち出され、長々と意味不明な主張をされたあと「削除には応じられません」と開き直ってしまった。このため、また楽天ブログ事務局へ経緯を報告。二日後、当該ブログは全ページ削除された。

次はFC2ブログ。こちらも楽天ブログとほぼ同じ対応で比較的スムースだった。そのため、特段記載することは無い。

以上、3つのブログサービス会社には紳士的な対応をしていただいた。

しかし、このブログ運営会社はひでえぞ……

そして上記三つの会社のほかに実はもう一社ある。アメーバブログを運営する(株)サイバーエージェントだ。ここは言葉には言い表せない対応だった。「権利者用の報告フォーム」はあったが、まず筆者の送った削除申請に対し、同社から送られてきたメールは「権利侵害行為に起因する削除申請につきましては、プロバイダ責任制限法に基づく対応を行わせていただいております」というもの。そして以下の手続きを指示された。

権利侵害の内容を用紙に記載し、免許証の写しと3ヶ月以内の印鑑登録証明書を添えて簡易書留で(株)サイバーエージェントへ送ること、その必要経費は申請者の負担とすること。

払って送った。4社の中で無断転載の被害者が申請手続き上、金銭を支払わなければならなかったのは(株)サイバーエージェント、ただ一社のみ。しかし、これで終わらない。

送付し一週間後。メールではなく、一通の手紙が届く。中の文面はこのようなものだった。

「あなたのサイトがあなたの所有するコンテンツであるか判断できないので当該ブログを削除しません」

椅子から転げ落ちそうになった。だって、筆者は自分のサイトのアドレスを記載したうえで、何処が無断転載か、詳細に記述したんですから。そのため、「私のサイトが私の所有物であることを御社に示すには具体的に何を示せばよいでしょうか?」と尋ねたのだが、それについて一切回答なし。印鑑登録証明の強制提出はいったい何だったの?弁護士に任せようとして事務所選びをしている数か月後になぜか、そのパクリブログは削除されていたので一件落着したのだが。

アメーバブログでの無断転載の恐ろしさ

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もし、アメブロで何度も何度もパクリをやられたら、数百円が積み重なり何万円もの出費を強いられることになるのだろうか。

他社の例となるが、Google利用規約では「Googleの各種サービスで著作権侵害を行う常習侵害者のアカウントは削除されます」とあるが、アメーバはどうだろうか。もし違うのなら恐ろしいと思った。

「一通、450円の印鑑登録証明書や簡易書留代は大変な負担になりもう払うお金がありません。御社のブログユーザーによるルール違反行為なのですから御社が負担していただきたいです。」と、具体的に言ってみたい。いや、言うべきだ。今現在、アメブロユーザーにパクられてる方は絶対言ったほうがいい。権利者の著作権を尊重して、問い合わせにも返答するなど、良い対応になるように期待したいものだ。他の会社はできているのだから。

ただ、この言い分(いいぶん)自体はアメーバブログ以外でも、例えばツイッターの運営会社も同じようだ。下記のコメントは自分の漫画作品がツイッターでパクられて削除依頼の要請をした方のブログより引用した。

公式に通報しても、返ってきた返事は全て英語で
訳してみると「でもあなたが書いた漫画だという証拠はどこにもないじゃない」ってことでした。

引用元 http://hendama.blog.jp/archives/1019769738.html

結局、この「貴方が正当な著作権者かどうか弊社ではわからない」系の言い分(いいぶん)に対して、パクられた側としてはどのように対処したらいいのだろうか。

漫画であれば、その漫画の制作風景を動画にでも記録しておくのか?写真の場合は実際の撮影風景を別のカメラで記録しておくのか?文章の場合はどうなるんだ?

自サイトのトップページに「現在、○○というサイトに無断転載されており、サイバーエージェントに対し削除依頼を行っています」とでも大きく書いておけばいいのだろうかね。

無断転載をするなら当該ブログ会社!著作権侵害者を守ってくれるから!っていう当該ブログ会社の選択だけは一般化しないでほしい。右クリック禁止しなきゃ。サイトの利便性が低下する苦情はコピペ犯に言ってほしい。

弁護士サービスももっと敷居が低くなれば利用しやすいんだけどなあ。現状では赤字になる。また、弁護士にも当然専門分野があるから、著作権に詳しい弁護士を見つけるというのも、筆者が尻込みをする理由になっている。

追記1 「ネイバーまとめ」にも無断転載

後日、「ネイバーまとめ」にも無断転載されていたのを確認。ネイバーにも削除依頼を送る。ネイバーまとめといえば、ユーザー参加型のまとめサイトで、個人が好きなテーマのまとめページを作ることができるサイトだ。アクセス数に応じて、ポイントが加算され、貯まれば現金化できるという。ところが、著作権の考え方がグレーで、ほとんど全文丸写しされているページも少なくない。実際、それが原因でネイバーまとめはアドセンスの配信を停止され、ユーザーが騒いでいた。このような会社のサイトだから、削除依頼の対応もアメブロばりなんじゃないだろうかと、あまり良い返事が来ないのではないかと思ったのだが、依頼後に即、削除してくれたうえに丁寧なメールの返答もあったので、企業として充分に紳士的な対応だったことを明確に記しておく。

追記2 「A8.netのファンブログ」にも無断転載

さらにA8.netが運営している「ファンブログ」のユーザーに丸写しされているので、現在対応を依頼しているが、A8からは一週間たっても全く返事がない。そして、3回目のメールでようやく対応した。過去2回のメールでの対応依頼はことごとく無視され、相手側のブログにこちらの削除と抗議のメールを伝えてくれたのかどうかも一切不明であった。そして今回、3回目のメールにも返信は無かったものの、メールの送信直後に当該ブログを確認すると、パクられたページのみならずブログ全体が跡形もなく、削除されていた。これが当人自らによるものかはわからないが、とりあえず解決した。しかし、なぜ3回目で対応したのかは不明である。3回目のメールの内容も過去2度送ったメールと内容はほぼ同じであるが。

追記3

2016年3月。またもやアメブロに無断転載されていた。今回も同様に同社の「権利者向けフォーム」から権利侵害の通知を出す。当然、その答えは

無断転載等各種権利侵害に起因し当該投稿の削除を希望される場合、
弊社ではプロバイダ責任制限法に沿った手続きをとらせていただいております。

お手数をおかけいたしますが、以下のヘルプページをご参照いただき、
ご申請を検討いただきますようお願いいたします。

だった。だからあ、それなら最初から詳しい権利侵害の内容をフォームから記載させる理由は。で、今回は前回言った通り「印鑑登録証明の発行手数料などの費用は御社が出してくれるの?」と聞いてみた。

するとこう返ってきた。

Amebaカスタマーサービスです。

ご質問の件ですが、恐れ入りますが削除請求等は依頼者様のご希望で
行っていただくものですので、かかる費用については依頼者様にご負担
いただいております。

ご了承いただきますようお願いいたします。

しょうがないので「御社ブログに無断転載されたのはこちらの希望ではないので御社が出してくれないと困ります。もうお金がありません」という内容で返した。

すると『それでは今回は不要でかまいません』と返答が来た。なんだそれ??

無断引用という言葉

ところで、無断引用という言葉を使う人がたまにいて、なんだそれと思うことがある。本来、無断引用なんて言葉はないし、引用自体誰しもが無断で出来ることが日本の著作権法で認められている。

あくまでやってはいけないことは無断転載であり、引用ではない。それなのに敢えて『無断引用』などという変な言葉を使うのは、正当に引用を行いたい人まで委縮させるのが目的なのか、それとも単に無知なのか謎である。

この無断引用という言葉を使う人の例として、以下の記事を出してみる。

実は、引用される側も対抗策を打ち出している。ある週刊誌のサイトでは、無断使用されそうな画像には、著作権表記と無断使用禁止の表示を入れ始めた。公にはなっていないが、ニュースコンテンツの運営元から無断引用するサイトへの抗議も行なわれ、その結果、対象記事の削除やサイト自体の閉鎖もあったほどだ。掲載記事をニュースアプリに配信していたキュレーションメディアが、画像の無断引用を理由に契約を終了されたという話も聞いている。

引用元 ascii.jp『バイラル・キュレーションメディアの勝手な無断転載はどうして止まらないのか?』

https://weekly.ascii.jp/elem/000/000/332/332050/

『バイラル・キュレーションメディアの勝手な無断転載はどうして止まらないのか?』と題された上記の記事は表題通り、無断転載を行うバイラル・メディアに対する批判が主旨で、ライター自身の写真がバイラルに盗まれた経験が紹介されたものだ。

自身の作品を無断転載するバイラル・メディアの著作権意識の低さを嘆き、権利侵害に臨む同記事のライターの厳しい姿勢には筆者も大きく共感できるのだが、ライターに著作権法の認識不足があるのではないか。それを感じさせるのが、無断転載、無断引用、無断使用などの言葉がコロコロ出てきて一貫性がないところだ。

とくに無断引用とは?断りなく引用するなって言いたいの?著作権法では断りなく引用できるのだが。無断引用などというおかしな言葉を作ってまでして、無断転載と引用を同列に語るってどうなのだろうか?

ライターは『問題となっているのは、引用の仕方』と言うが、そもそもバイラルメディアの問題点は引用ではなく、無断転載。バイラルメディア側が勝手に画像を転載し、その画像にタダ一言の言及どころか批評も研究もせず、勝手に記事の飾りに画像を転載して引用と言っているだけだ。

だからこそライターには「それは引用ではなく無断転載だろ!」とハッキリ言ってほしいのだが『無断引用』という変な言葉を使って引用の仕方が悪いと嘆く。

ちなみに上記の文章を引用するにあたって、先方のライターやアスキーに当方は許諾を得ていない。つまり私はライターが言う無断引用の状態にある。何度も言うが、引用は権利者に無断で行うことが認められるのだ。無断引用なんて変な言葉は使うべきでないと思う次第である。

ウェブ上でも無断引用という言葉には批判的な意見が実に多いので、”無断引用”でググって1ページ目に出てきたサイトをいくつか紹介する。見事に『無断引用』という言葉に対して否定的なサイトばかりだ。

「無断引用」という表現はやめよう|Colorless Green Ideas様

「無断引用」という表現はやめよう

ついでに「引用禁止」と但し書きをする変な人もいるので言いたい。著作権法で認められている引用という行為は、個人が但し書きをつけたところで禁止できないと解されている。※解されているというより「引用の禁止を認める」などと著作権法に明記されていないのでそんな除外規定はないと言ったほうがいいか。

もちろん、第三者の著作物を引用するに当たっては引用の条件を満たしていることが絶対条件であることは言うまでもない。

ただこの『無断引用』という言葉の問題はアスキーのライターだけの問題ではなかった。大手新聞社もこのわけのわからない言葉を以前から何度も使っていると以下のブログ様で指摘がなされている。

著作権法で認められている引用は素晴らしい制度であると同時に、多くの人が利用すべきであるものと思っているなんてことは今更当方が得意げに言うことでもない。言わすな恥ずかしい。

今後は検索神であり、ネット警察でもあるGoogleによる著作権侵害サイトに対する締め付けはさらに強くなるだろう。引用したテキスト部分を引用タグで囲むことを怠っているサイトはますます検索の下位に追いやられるか、あるいはまったく検索結果に出現しなくなったりして。

追記 『強い女メーカー問題』

2019年、強い女メーカーをスクショで紹介したら弁護士事務所から連絡が来た話。という、あるブログ記事が話題となった。発端は上記ブログ運営者が、自身の運営する別ブログにて「強い女メーカー」というウェブサービス(商品)を記事に取り上げて紹介(スクリーンショットおよびテキストで)したところ、強い女(略)の著作権者ならびにその代理人弁護士を名乗る者から「商用利用なので50万円払え」と請求されたというのだ。

現在では請求されたブログも、請求したほうの強い女(略)運営者も、自身のブログとサービスを削除しており、騒動の行方はわかっておらず、当方もこれ以上の論評はできないが、言うまでもなく、著作権法の引用の条件に「商用利用の際は、これを禁ずる」などと規定されてはいない。そしてアフィリエイトサイトが商用サイトなのか否か、個別の弁護士事務所が判断できるようなものではない。

この強い女(略)問題について、ズバリ突っ込みを入れているサイト様がある。パテントを仕事にしているプロの方の運営しているブログだ。

上記ブログ様によると、強い女(略)の作成者は引用を理解していないのでは?という点から50万円の請求に正当性はあるのか切り込んだ上で、そもそも「知財をかじった者」からすれば、この問題の論点は商用利用か否かではなく、スクショ画像が引用か否か、それだけであると明快にバッサリ。

迷惑ネットサービスに四苦八苦している……

「ボケて」というサイトがあるが、このサービスは他人の写真(さらにはアニメやドラマの画像)を勝手に使って、ボケのコメントをつけるというサイトだ。

私の写真コンテンツである「学祭のダンス写真」を誰かに勝手に使用され「北朝鮮の喜び組」と揶揄されたこともあった。著作権であれば、撮影者である筆者の権利問題だが、ボケの内容によっては被写体の方々への中傷や名誉棄損にもなりかねない問題で、そこが単なる権利侵害だけではすまない問題の複雑化の様相を見せる。

http://bokete.jp/boke/10781522

これ、アンパンマンのジャムおじさんの画像だが「そろそろ「ボケて」に対して名誉毀損で告訴だ。」という”ボケ”が書き込まれている。もちろん、やなせスタジオが使用許諾をされているのなら当方が何かを言う権利はないのだが。

著作権侵害ではないのか

このボケてというサイトにはやはり著作権侵害ではないのかという議論も起きているようだ。

http://www.bengo4.com/topics/1406/

こちらの弁護士のサイトでもトピックになっている。

またこちらのサイトでも同様に、権利侵害についての疑問を投げかけており「弊社は一切の責任を負いません」というボケて運営会社に対して「それはないだろう」と批判されている。

http://digimaga.net/2012/11/bokete-copyright-fail

まとめ

よそのサイトから持ってきた記事を使い『自分が書いたかのように偽って』記事を書いても、自分のサイトの評価が上がることはない。※追記 最近はそうでもなくなった。大手サイトがパクれば平気で上位表示される。

今後、バイラルメディアやキュレーションサイトに対しては一層厳しい視線が注がれるだろう。そして、無断転載ではなく、出典を明記して批評や研究のために『引用』を正しく行えば、だれでも許諾を必要とせずに他サイトのテキストや写真を使うことができるのだ。だから「無断引用」とか「引用禁止」などという恥ずかしい言葉を使うのはやめよう。